2011年10月21日金曜日

福岡県の原子力安全協定は全然安全じゃない

9月、北九州市でも九電と原子力安全協定を結ぶ請願書が北九州市議会にも提出された(請願者:深江守さん)。これについて、福岡県の動きが気になるところ。北九州市は福岡県の動きを待っているからだ。さて福島第一原発事故以来、全国で停止中の原発の再稼動についても協定を結ぼうとする動きが目立っているようだ。安全協定の中味というのはそもそもばらつきがあって、何を盛り込むかは地域による。

認識について市民団体側にも色々と違いがあることはさておき、とりあえず、福岡県は「再稼動の事前了解について盛り込まない」とあえて発言することで、原発稼動を容認している立場だといえよう。福岡県の小川知事は経産省上がりの知事であるから、経産省の方針に反対は取れないはずだ。4月の統一地方選、小川氏は、選挙前の政見放送で一言も原発事故のことを言わなかったのを記憶している。
因みに原子力安全協定というのは紳士協定であるから、そもそも稼動するしないを盛り込むのはおかしいのでは、というのが深江さんの見解らしい。紳士的な深江さんらしい発言ではある。このように敢えて再稼動の了承について含まれている含まれてないを問題にするのは、逆に九州電力に協定に含まれていないから稼動を勝手にしますよ、ととられるのでは、と懸念しているようだ。しかしまあ、法律であるとか規則の解釈とかそういうことも含めて、日本人と言うのはどうして裏道見つけるのが得意なのかね・・・

とにかく福岡県の結ぼうとしている安全協定は全然安全とはいえない。これは文句言った方がいいかもだ。

すこぶるどうでもいいことだが、深江さんは何度合ってもなかなか名前を覚えてくれないらしいので、今後注意したいと思う。こっちが目立てば覚えてくれるのか?


参考:原発の安全協定の請願について

修の呟きの部屋より引用
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深江さんからの転送です。 伊藤莞爾

九州電力と北九州市との原子力安全協定を結ぶことを求める請願
 9月22日に北九州市議会に提出した「原子力安全協定を結ぶことを求める請願」についての趣旨説明を行う日時が決まりました。
10月18日(火)10時、議会棟第6委員会室で審議が始まります。
それに先立ち、5分間意見陳述する時間があります。
傍聴は20人で、午前9時からの先着受付になるそうです。
みなさん、傍聴に参加しましょう。
先日、知り合いの自民党の議員から、2点ほど提案を受けました。
一つは、提出団体を「原発に依存しない社会を目指す北九州市民の会」ぐらいにしてもらえるとありがたい。
もう一点は、最後の2行を外せないだろうか、という提案です。
最後の2行というのは「北九州市として、安全性が確保されない原発の再稼働は許されない旨、意思表示していただくようお願いいたします」という内容ですが、この部分は個別に市長に直接要求すれば済むことなのでクリアできます。
そういうわけで、請願が通る可能性が出てきました。

深江
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関連ニュースを引用する。

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原子力安全協定

 原子力事業者と、都道府県や立地・隣接市町村が住民の安全確保を目的に結ぶ紳士協定。原子力関連の法令は国が一元的に管轄しており、地方自治体は事業者に対する権限がない。このため、原発に異常があった時の情報連絡の取り決めだけでなく増設時の事前了解などについて、自治体と電力会社が協定を結ぶ慣例がある。震災後、定期検査後の再稼働についても、協定を根拠に電力会社が地元了解を得る手続きが一般化した。

(2011年10月20日掲載)

九電・九州考=原発安全協定 九電後ろ向き 締結要望急増…再稼働「当事者」拡大嫌う? 事前了解 福岡県など求めず

 原発を再稼働させるのに、地元了解を取るよう電力会社に求める「原子力安全協定」の新規締結を要望する自治体が急増している。福島第1原発事故による広範囲の被害を受け、周辺自治体が「立地自治体並み」の対応が必要と方針転換。ただ、再稼働のハードルを上げたくない電力会社は、締結拡大に後ろ向きだ。一方で、九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)から19キロの福岡県などが求める「協定」には、再稼働の事前了解が含まれておらず、同県の消極姿勢が際立つ。
 「再稼働の同意が必要、とする協定を求めるべきではないのか」。今月11日、福岡市の市民団体が福岡県庁を訪れ、担当者に疑問をぶつけた
 同7日、玄海原発に近い福岡県糸島市と福岡市、同県の3自治体は、九電に「協定」締結を要請。ただ、よく見ると、立地自治体(玄海原発に関しては佐賀県と玄海町)が結んでいる原子力安全協定と明らかに異なる。「異常時の早期通報」など情報提供の項目に限定され、再稼働の事前了解を求めていない
 「県民にとって必要なのはまず、事故時の早期避難ですから」。県の担当者はそう話すが、市民団体メンバーは納得できなかった。

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 自治体が協定締結を求める動きは震災後、県境に関係なく加速した。
 九州では、玄海原発から8キロの長崎県が九電に「立地県並みの内容の締結を求めている」(危機管理防災課)。
 高浜原発(福井県高浜町)から5キロの京都府の山田啓二知事は9月末の定例会見で「京都から原発が見える。安心、安全の面で(福井県と)どう違うのか。違いがなければ同等の協定が必要だ」と強調。既に関西電力と協議入りした。敦賀原発(福井県敦賀市)から13キロの滋賀県も、京都府とほぼ同じ方針だ。
 島根原発(松江市)から東に17キロの鳥取県は、中国電力と3回協議。担当者は「再稼働の事前了解や緊急時の立ち入り調査権を獲得したい」として、これから協議を本格化させるという。
 こうした動きと比べると、福岡県などの「協定」は内容が薄い。市民団体の関係者(66)は「どうして福岡の自治体はこんなことになるのか」と首をかしげる。

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 「早く話を詰めたいのに、何の連絡もない」
 九州のある自治体担当者は、全国の電力会社の中でも後ろ向きな九電にいらだちを隠さない。これまで関わりが浅かった自治体が加わり、再稼働の命運を握る事態を「九電は嫌がっている」と、この担当者はみている。
 玄海原発でプルサーマル導入が計画されていた2006年ごろ。玄海町に隣接する佐賀県唐津市は協定締結を九電に要望したが、実現しなかった経緯がある。古川康知事が「県が代表して判断する」とはねのけた。知事は今、やらせ問題で九電との「不透明な関係」を追及されている。
 九電は再稼働問題について「県、立地市町と相談の上、検討したい」と繰り返す。新たな当事者である周辺自治体の意見をどう原発運営に反映させるのか-。九電が迫られている緊急課題だ。

西日本新聞 ワードBOXより引用
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佐賀・玄海原発:再稼働同意権「安全協定に盛らず」--小川知事 /福岡

 小川洋知事は18日、九州電力との原子力安全協定に関し、玄海原発の再稼働に対する同意権は協議対象としない意向を示した。定例会見で「情報提供や非常時の通報の方が県民の安全を確保する上で大事だと判断した」と述べた。
 小川知事は同意権について「立地自治体と違い(県には)法律上の裏打ちがなく、協定に盛り込むのは無理がある」と述べた。再稼働に必要な安全性確保についても「国が責任をもって評価・判断すべきだ」と語った。
 一方、やらせメール問題を巡る枝野幸男経済産業相の批判については「九電の報告書の具体的な中身を知る立場になく、コメントは難しい。処分も、九電の経営陣が自ら判断をされるべき事柄」と述べるにとどめた。【林田雅浩】
〔福岡都市圏版〕

毎日新聞 2011年10月19日 地方版